偏頭痛の痛みは厄介ですが、命の危険はありません。
ただし、命の危険がないからといって予防や対策をせずに放っておくと、脳梗塞や脳過敏症候群のリスクが高まるので注意が必要です。

どうして脳梗塞や脳過敏症候群のリスクが高まるのかを解説します。
この記事のポイント
■血管が傷つくことが続くと、脳梗塞のリスクが高まる
■神経が高ぶったままの状態が続くと、脳過敏症候群のリスクが高まる
■偏頭痛は放置せずに、適切な治療や予防を行う必要がある
偏頭痛は血管や神経にダメージを与える
偏頭痛は脳の血管がグッと拡がって、血管のまわりの三叉(さんさ)神経を圧迫して痛みが起きます。
偏頭痛が起きているとき、血管と神経は炎症を起こしていてダメージを受けてしまいます。
このダメージが積み重なると、脳梗塞や脳過敏症候群のリスクが高まっていきます。


偏頭痛を放おっておくことで脳梗塞になるリスクは最大で25倍
脳梗塞は脳血管の障害の1つで、日本人の死亡原因第3位。患者数は133万人にのぼります。
寝たきりになる人の原因の20%以上が、脳梗塞であるとされています。
偏頭痛を1ヶ月に1回以上起きす人が将来的に脳梗塞になるリスクは、頭痛がない人と比べて高いことが分かっています。
海外の研究では、前兆のないタイプの偏頭痛の人は7倍、目の前がチカチカする前兆(閃輝暗点)があるタイプの偏頭痛の人は25倍ほど脳梗塞になるリスクが高いと報告されています。

参考:偏頭痛の人が脳梗塞になりやすいことを示す研究
・Swartz RH, Kern RZ.Migraine is associated with magnetic reosonance imaging white matter abnormalities.
・Kruit MC, Buchem MA, Hofman PAM, et al. Migraine as a Risk Factor for Subclinical Brain Lesions.
・Spector JT, Kahn SR, Jones MR, et al.Migraine headache and ischemic stroke risk.
・Etminan M, Tkkouche B, Isorna FC, et al.Rick of ischaemic stroke in people with migraine
・Bushnell C, McCullough LD, Vice-Chair IA, et al. Guidelines for the prevention fo stroke in women.
脳梗塞のリスクが高くなるのは偏頭痛によって血管がダメージを受けるから
脳梗塞になるリスクが高くなるのは、偏頭痛で血管がダメージを受けて修復されるからです。
偏頭痛が起きるとき、脳の血管が炎症を起こして血管自体が傷つきます。
傷ついた血管の場所には修復するためにコレステロールが駆けつけて、傷ついた場所を治してくれます。
ここまではいいのですが、治すときに血管のなかに「かさぶた」ができてしまうんです。
このかさぶたができると、血管内が狭くなってしまいます。
偏頭痛が繰り返されると、血管がダメージを受けるのと修復が繰り返されて、かさぶたが積み重なっていきます。
そして、血管内がどんどん狭くなって血が通りづらくなり、最終的には脳梗塞が起きてしまいます。


偏頭痛を放おっておくと脳過敏症候群になってしまうことも
偏頭痛の予防や適切な対処を行わないと、脳過敏症候群に移行する場合があります。
脳過敏症候群とは、脳がわずかな刺激にも過剰に反応して、さまざまな症状を起こします。
【脳過敏症候群の主な症状】
・頭がガンガンする
・頭が重い
・強い痛み
・耳鳴り
・めまい
・不眠
・不安
症状はどれも強く、日常生活や社会生活に支障をきたすほどといわれています。
また、一時的に、記憶力が低下したり、性格が変わるといったような脳の障害が出るケースも報告されています。


偏頭痛を放おっておくと神経が興奮しやすくなって脳過敏症候群になってしまう
偏頭痛が起きると脳の血管のまわりにある三叉(さんさ)神経が刺激されて炎症を起こします。
神経が刺激を受けるということは、神経が興奮している状態ということです。
偏頭痛が起きれば起きるほど、この三叉神経の興奮状態が積み重なっていっていきます。
そうすると脳の三叉神経は興奮しやすくなって、今までなら偏頭痛を起こさなかった小さな刺激でも、三叉神経が興奮状態になって痛みを生じるようになります。
この状態になると、偏頭痛ではなくて脳過敏症候群となります。
まとめ:偏頭痛は放おっておかずに治療や予防を始めたほうがいい
偏頭痛を放っておくことで高まる病気のリスクについて解説しました。
これらのリスクを高めないように、偏頭痛の治療と予防を行なう必要があります。
偏頭痛が起きてしまったときは、病院で処方してくれるトリプタン製剤を飲むようにしましょう。

また、起きてしまったときに自分でできる対処法も身につけて、偏頭痛が短時間ですむように心がけてください。
なお、偏頭痛は生活習慣を改善したり、偏頭痛の原因を避けることで予防できます。
病院や薬に頼るのではなくて、偏頭痛を起こさない習慣を身に着けてみてください。
栄養面でいうと、マグネシウムやフィーバーフューは偏頭痛予防に効果があることが医学的にも証明されています。
これらの栄養を食事で全てまかなうのは難しいので、サプリで補うのも1つの方法です。
